naos92の日記

あなたは夢をみる?志を低く自我を薄く、万人に好かれる便利な奴隷を目指します。

MUFGの株主優待で経済セミナーをみたよ。おすすめだよ。

MUFG株主優待のひとつである経済セミナーを動画配信で視聴することができた。
テーマと講師は以下のとおり。

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テ ー マ: 内外の経済:金融を展望する(仮題)
講  師: 五十嵐 敬喜 氏
      株式会社リカレントエコノミクス 代表
      前 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 研究理事
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すごくわかりやすい説明で想像以上にgoodだったので、以下にメモをする。

1.日本国は2年前の2018年から景気が落ち込んでいた。ただし、政府発表ではそこには触れられていなかった。

2.コロナ禍により、ヒトの移動を制限した。→お金はあるが消費したくても消費できない→企業の売上が落ち込み固定費が回収できず利益減→個人所得の落ち込み
→お金が無くなりそもそも消費ができない。

3.日本国では欧米と比較してコロナの状況が異なる。感染者数が増えても、死亡者数が増えていかない。

4.コロナ問題で欧米と日本を比較すると、死亡者数の桁が違っていることから、深刻度が違う。人口比で考えても全然違う。

5.IMFの予想では、2020年に景気がドスンとなり、2021年にようやく2019年と同じ水準に回復。→その結果を受けて、FOMCは2023年までゼロ金利政策。→日本は輸出産業に配慮して円安に誘導したい。→日本が金利を上げると、日本円に資金が流れ込み円高になる。→日本は円高にしたくないので、FOMCにならってゼロ金利政策をとるしかない。

6.2020年は、個人消費+輸出がダブルでマイナスになり、GDP成長率がマイナス6%。

7.個人消費で落ち込みが大きいのは、レジャー関連サービス(外食、旅行など)
参考までに、個人消費は約300兆円。
内訳は、耐久財(車、家電など)25.3兆、半耐久財(衣料品など)15.8兆、非耐久財(食料品など)82.3兆、レジャー関連サービス(外食、旅行など)35.1兆、その他サービス(家賃、光熱、通信、教育など)141.8。

8.日本ではゼロリスク信仰が強いので、感染者数が減らない限り、個人消費の落ち込みが回復することは難しい。

9.日本の経済成長は中長期ではじり貧。
2000年と2019年ののGDPで、米国、日本、中国を比較すると以下のとおり。
米国:10.3兆ドル→21.4兆ドル
日本:4.9兆ドル→5.1兆ドル
中国:1.2兆ドル→14.3兆ドル
※2000年には米国の半分あったGDPが、2019年には四分の一になってしまっている。中国にも約3倍の差をつけられてしまっている。

10.日本は名目GDPで成長なし。
名目成長と実質成長の違いは以下のとおり。値段の上昇下落を含めるかどうかがポイント。
名目成長(所得):去年1万円で100個売り、100万円の売り上げ、今年は1.2万円で100個売り、120万円の売り上げ。
実質成長(生産):去年1万円で100個売り、100万円の売り上げ、今年は1万円で120個売り、120万円の売り上げ。

11.GDPデフレーター=名目GDP/実質GDPが日本では、2000年~2019年にかけて年平均0.5%低下した。
GDPの3面等価の意味は、国内総生産=国内総購入=国内総所得となる。
従って、GDPデフレーターの意味は以下の通りとなる。
GDPデフレーター=名目GDP/実質GDP=名目総所得/実質総生産=実質生産1単位あたりの名目所得
例:自動車を1台生産・販売して得られる名目所得のイメージ。つまり、ここ20年で自動車を1台生産しても価格は下がり続けているイメージ。

12.GDP=税金(政府)+賃金(家計)+企業収益(企業)となる。
GDPは、企業活動の成果ともいえるのだが、ここ20年でちっとも増えていないことがそもそもの問題。成果をどうやって高めるべきか?

13.日本国はそもそもインフレになりにくい国。過去50年を振り返っても、石油ショックや海外からの輸入品価格の高騰に引きずられた消費者物価上昇を除き、インフレ率の2%達成はほぼない。→日本では物価を上げることは難しい。

14.コロナ対策のために歳出を増やした結果、プライマリーバランス(赤字)が拡大。

15.債務残高比率=債務残高/名目GDPでは、世界で日本がダントツのトップ=財政不健全トップ。米国の2倍。米国は名目GDPが大きいので、債務残高比率でみるとトップ5にもはいっていない。
ちなみに、トップ5は、日本、イタリア、フランス、ベルギー、英国だ。

16.とにかく何とかして名目GDPを増やさないとダメ。そうしないと、税収も増えないし、個人所得も増えないし、企業収益も増えない。名目GDPをあげるような価値あるものを作ることが大事だ。

17.最後に少しMMT
MMT理論の前提、結論、不都合な現実は以下の通り。
前提
① 独自の通貨を持つ国である
② 公的債務の大半が自国通貨建てである
③ 為替が変動相場制である
結論
公的部門の赤字はすべて通貨増発で手当てできるから、債務がどんなに膨張しても、国家は破綻しない
不都合な現実
① 公的債務の増加は世代間で受益と負担の不公平を生む
② インフレを回避するために増税したり歳出削減するのは極めて困難
※歳出の大部分を占める社会保障費や地方交付税交付金を削ることはできないしね。