naos92の日記

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学術会議問題による論文博士撤廃の可能性は?

学術会議の任命問題が発端となって論文博士がなくなる可能性がでてきたね。

菅首相、任命拒否「私が判断 変更しない」 学術会議問題で初論戦。

枝野幸男代表の質問
学術会議法7条2項は「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」と明記しており、任命拒否は「明らかに違法だ」と追及した。

菅首相の答弁
「民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られることを踏まえ、多様性が大事だという前提に私が任命権者として判断した。今回の任命について、変更するということは考えていない」
「個々人の任命の理由については、人事に関することでお答えを差し控える」と説明を拒んだ。
憲法第15条第1項は公務員の選定は国民固有の権利と規定している」
日本学術会議の会員についても必ず推薦の通りに任命しなければならないわけではないという点については、内閣法制局の了解を得た政府としての一環した考え」と述べ、違法との指摘を否定した。


さて、国民の皆様は枝野幸男代表と菅首相のどちらの言い分に分があると思うだろうか。
枝野幸男代表の根拠は学術会議法だ。
対して、菅首相の根拠は憲法だ。
効力の強さでいうと、憲法>学術会議法なので、ここを根拠とすると菅首相の言い分が正しいと思えてしまう。

さらに、そもそも学術会議法7条2項とはどんな内容なのか調べてみた。

http://www.scj.go.jp/ja/scj/kisoku/01.pdf

根拠は上記の資料。
該当箇所を抜粋すると以下の記載がある。
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第七条 日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員(以下「会員」という。)をもつて、これを組織する。
2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。
第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。
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第十七条の規定を読んでみると、『優れた研究又は業績がある』との記載がある。
一般的に学術に関する『優れた研究又は業績がある』かどうかを素人が判断することは難しいが、それは一般社会でも同じだ。
一般社会だとこういうときには、過去の実績(どのポジションでいくら儲けたか)、資格の有無、が判断ポイントとなることが多い。
学術の世界でも一般社会と同じように過去の実績と資格の有無で判断してみると、過去の実績は海外の査読付き論文に筆頭著者として記載があること、資格の有無は研究能力があることの証明である博士号を保持しているかどうかがわかりやすい。
博士号には、専門課程にて専門教育を受けた課程博士と、論文博士がある。
論文博士というのは、日本独特のもので、世界的にみると博士号=課程博士である。

 

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1415111.htm
また、文部科学省の上記のサイトには以下の内容が記載されている。
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2.国際的な大学間の競争と協働が進展し,学生や教員の交流や大学間の連携など,国際的な規模での活動が活発化していく中にあって,今後,制度面を含め我が国の学位の国際的な通用性,信頼性を確保していくことが極めて重要となってきていることなどを考慮すると,諸外国の学位制度と比較して我が国独特の論文博士については,将来的には廃止する方向で検討すべきではないかという意見も出されている。
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論文博士は国際的にみると価値がないので将来的に廃止の方向のようだ。

ここから、任命拒否された6名について、海外の査読付き論文の筆頭著者の有無、博士号の有無を調べた結果以下の通り。


芦名定道
https://kyouindb.iimc.kyoto-u.ac.jp/j/lU7xK
上記のページを見る限り、海外の査読付き論文はなさそう。
http://tillich.web.fc2.com/sub1.htm
博士号保持。

 

岡田正則
https://researchers.waseda.jp/profile/ja.c178304cbb7b4592fc79cce2226e4c52.html
上記のページを見る限り、海外の査読付き論文がちょびっとありそう。
博士号保持。

 

小澤隆一
http://www.jikei.ac.jp/academic/course/36_ningen.html
上記のページを見る限り、海外の査読付き論文はなさそう。
http://www.jikei.ac.jp/jikei/finance/kyouiku/gakuikokuryoukango.pdf
博士号未取得。法学修士

 

松宮孝明
https://research-db.ritsumei.ac.jp/rithp/k03/resid/S002020
上記のページを見る限り、海外の査読付き論文はなさそう。
教授になったあとに博士号を取得。

 

宇野重規
https://jww.iss.u-tokyo.ac.jp/mystaff/uno.html
上記のページを見る限り、海外の査読付き論文がちょびっとありそう。
博士号の記載なし。

 

加藤陽子
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/teacher/detail/38.html
上記のページを見る限り、海外の査読付き論文はなさそう。
助教授になったあとに博士号を取得。

 

そもそも、業績欄に海外の査読付き論文に投稿した形跡のないヒトもいるようだし、博士号を保持していないヒトもいるようだ。
博士号を保持していても、取得時期から推測すると論文博士のようなヒトもいる。
これで『優れた研究又は業績がある』といえるのだろうか?
この話がさらに進展をみせると、学術会議の解散と、論文博士の撤廃にまで話が波及しそうだ。
この話を選挙の争点にしたら、おそらく与党が勝つのではないのか。

任命拒否された6名を含む学術会議側はこのあたりの事情も考えて、政府にかみついているのだろうか?
甚だ疑問だ。

 

www.tokyo-np.co.jp