東京証券取引所のシステム障害に関する再発防止策検討協議会第1回議事概要が公開されていた。
議事録には発言者の氏名や所属が記されていないので、第1回なのでブレストして意見を出し合った内容となっている。特に特筆するべき意見はなかったかな。
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再発防止策検討協議会第1回議事概要
1.日時:令和2年10月23日(金)午後3時30分から午後4時50分まで
2.場所:東京証券取引所会議室
3.議題:
(1)今回の事象について
(2)再発防止策の概要
(3)今後の主な検討課題
4.議事概要:
(1)総論に関する意見
当日の対応方針についてもっと早く決定し、情報発信をしていただきたい。
システムである以上障害が起こるのは当然なので、その後いかに早く原因を究明し復旧できるかが重要。
今回の設定ミスが起きたことの根本的な原因の特定はもとより、ルールの整備をする前に前提として、本事案のみならず他のシステムにおいても類似する依存性や設定ミスがないか等の検証が必要。
堅牢なシステム構築は大前提であるが、復旧に向けた基準、手続きや障害時における注文取扱ルールが重要だと考えている。また、投資家を含む市場全体に取決めを周知することが何より大事。
今回と類似した事象が起きた際に、証券事故該当性など、対応関連する法令との調和、場合によっては法令側での対応を検討する必要がある。
(2)各論に関する意見(売買停止・再開に係るルールについて)
再開する場合の委託注文の再送が無断売買や証券事故にあたらないということを整理する必要がある。
売買再開のルールを検討するうえでは注文の状態や時間帯などケース別に考える必要がある。
様々な障害を想定したルールや手順、訓練が大事。
8時前に注文を止められていればこのようなことにはならなかっただろう。
現状証券会社の大半は自身で注文をキャンセルできず東証から失効通知を
もらわないとキャンセルすることができない。海外では一般的であるというクリーンスタートは大半の証券会社で想定しておらず、相当のコストがかかる証券会社もあると思われる。
迅速な再開のために、事前にシステマティックな手順を整備しておく必要があり、それに基づいたテストや訓練を実施するべき。
海外との競争にさらされている中で、単にコストだけで判断せず長期的に日本の株式市場にリスクマネーを供給するという観点でクリーンスタートを検討するべき。ある程度の参加者が参加できるのであれば再開するべきだろう。
クリーンスタートにかかるルールやコストについては国際的な競争も含めて投資家目線に立って検討をしていただきたい。
(情報発信について)
Webで障害の状況を開示していただくと非常にありがたい。コールセンターのオペレーターがそのサイトを参照し、統一的な対応をすることができる。
障害の当日はTargetにアクセスが集中しておりPDFのダウンロードができなかったので、サーバの増強やSNSなどの活用も検討していただきたい。
当日、原因や復旧予定が全くわからなかった。以前の2018年の障害の際から改善されていないように見受けられる。グローバルスタンダードを意識した、様々なステークホルダーから見て透明性が担保されている情報発信を行っていただきたい。また、そういった情報発信のあり方の議論も是非していきたい。
情報発信については個人投資家に向けてもわかりやすい情報を出していただきたい。Twitterなど個人投資家でもリーチしやすい導線があるといい。
海外投資家の投資を促進するためには日本語とほぼ同時に英語での情報発信をしていただく必要がある。
東証のHPは様々なコンテンツが並んでおり、どこを見れば障害に関する情報が載っているのかがわからない。障害が起きた際には一面に表示するなど見やすい工夫をしていただきたい。
取引所から伝達される情報が、関係者間で共有されるまでには、会社によってタイムラグが生じるし、共有が不十分である事態も想定して、対応策を検討して頂きたい。
(システム対応について)
証券会社で対応できる範囲と取引所で対応できる範囲の精査が必要。また、各証券会社のシステムの仕様をすり合わせることが必要。
売買監視サーバは独立した別系統にすべきであり、情報配信ゲートウェイ
と同じNASに依存すべきではない。システム内部の依存性を検証する必要がある。また、今回自動切り替えができず、問題の特定に時間を要したことから、モニタリングツールの導入の検討を提案する。
以上
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https://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/system-failure/nlsgeu00000525ve-att/gizi.japanese.pdf